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イタリアやフランスのワインが乳酸をたくさん含むワインであるのに対してドイツワインは北国ゆえに唯一リンゴ酸をたくさん含んだフルーティなワインとなっています。同じワインでもずいぶんとその性格は違ってきます。フランスワインの常識では「ドレッシングや柑橘類はワインに合わない」のですが、ドイツワインはカキフライにレモンの世界でも美味しくいただけます。
 

 ワインといえばヨーロッパのフランスやドイツのワインが有名です。とくにフランスのステイタスはゆるぎのないものです。しかし神田和泉屋ではたまたま巡り合ったドイツの無名(であった)4軒のワイングート(自家栽培醸造所)の無農薬栽培農業そのものと言えるワイン造りに感動し、すこしづつ軒数が増え今は9軒ワイングートのワインをご紹介しています。

 9軒の内の5軒のワイングートはトロッケナーと呼ばれる辛口ワインだけを造る蔵です。ドイツのワインといえば甘いワインと思われがちですが、けっしてそうではないのです。北国ゆえにぶどうの糖度あがらず、たいへんな苦労をともないますが、畑の管理と収量の調整、そしてすぐれた醸造技術から誕生するこれらの辛口ワインはほんの少しの残糖分と酸味の微妙なバランスがすてきです。

 9軒のワイングートはすべて無農薬栽培ですが、日本で言う意味と少し違っているように思えます。健康指向はあとからついてきた感じで「除草剤を使用した畑からは美味しいワインができない」という経験からの無農薬なのです。この畑にかける情熱がワインに魂を与えていると感じられます。

 世界のワイン産地でも最も北に位置するドイツ(北緯50゜=樺太附近)では、ぶどうの風味を生かした繊細で軽やかな白ワインが造られています。フランス・イタリアに比べ生産量は大変少ないのですが、独特の風味をもつために3大ワイン国に数えることができます。

 冷涼な気候のためぶどうが完全に熟しにくく、その熟度(糖分の量)が問題になります。ぶどうに含まれる糖分がそのままワインのアルコール(同時に保存性、コク)に変わるためで、主にこのぶどうの熟度によってランク付けされ、3つに分けられています。ゲルマン民族特有のいい加減さを認めない感覚がドイツ独自のワイン法を貫いています。誰それが美味しいと言ったからとか、コンテストで賞を取り続けているから、といった基準をよしとせず、客観的なデーターを判断基準にしています。以下にご紹介するドイツのワインランキングは、どこの畑であろうが、誰が造ろうが、甘かろうが辛かろうが、美味しかろうがまずかろうが、そんなことには関係なしに、そのぶどうがどれほど熟したかで決めることにしています。

 そしてドイツワインアトラスというワイン畑CDを用意して、どのレベルの畑かを表示しています。畑の個性がより良く出る「単一畑(アインツェルラーゲ)」大きな地域の「集合畑(グロースラーゲ)」 、このあたりはその他のヨーロッパのワイン畑の区分の「AOC(原産地呼称法)」と同じですが、地図を用意するところとぶどうの塾度でランク付けするところがいかにもドイツ的です。

 

1

  Tafelwein 並みの食用酒=テーブルワイン


(Qualitaetsweinbestimmtes
Anbaugebiet の略) 
地域の上級酒


(Qualitaetswein mit Praedikat の略)
畑の特徴も出る高級酒
 1〜3の順にぶどうの熟度が上がり、ワインにするのに十分な糖度に熟したぶどうから造られたものが3のQ.m.P.です。1〜2は不足するぶどうの糖分を、砂糖で補ってアルコールに変えます。というとドイツだけが補糖をしているように聞こえますが、フランスでも有名シャトーも含めて、フルボディ(こくがある)ワインの柱となるアルコール度数アップのために補糖が行われています。ただ民族性の違いからか、ゲルマン民族のドイツ人はラテン系の人たちのように「美味しけりゃいいじゃない」と、このことに無条件に目をつぶらず、「補糖しました」とはラベルに書きませんが、1,2の表示でそれとわかるようにしているのです。
3のぶどうの糖分だけで造られるQ.m.P(クーエムペー)は、さらに収穫時の糖度と摘み採り方で次の6つ、

 (Kabinettの略)

成熟果

自然の熟成で必要なだけの糖分が蓄積されたぶどうを使用

(Spaetleseの略)

遅摘み

さらに枝で長期熟成させて十分な糖分を蓄積させたぶどうを使用

  (Ausleseの略)

.房撰

良く熟したぶどうの房を選んで摘果したものを使用

(Beerenausleseの略)

過完熟粒撰

良く熟したぶどうの粒を選んで摘果したものを使用

 (Eisweinの略)

氷果摘

11月の中過ぎまで枝に付けておきぶどうの中の水分が凍っている状態でしぼった濃厚なぶどうジュースを使用


                        (Trockenbeerenausleseの略)

貴腐粒撰

貴腐菌によってぶどう皮に穴が空き中の水分が蒸発してまるで腐ったように見えるぶどうを搾ったぶどうジュースを使用 写真

 
 

3のアウスレーゼ以上のものは、毎年できるとは限らない過完熟したぶどうによるワインです。

ドイツワインは、ランクが上がるほどワインの味は甘くなるといわれます。確かにその傾向は間違いなくありますが、あくまで摘み採った時点でのぶどうの甘さ(糖度)でこの表示がきまります。
  そのワイン蔵の方針で、辛いシュペートレーゼやアウスレーゼも誕生します。酵母菌が食べ残せば「甘口ワイン」となりますし、全部食べさせれば「辛口ワイン」になります。これは完全に醸造しきったワインの世界です。これまで、ドイツワインというと甘いワインというイメージで捉えられてきました。そのため日本では食事に合せるものというより、食後に楽しむものでした。

 トロッケン(trocken辛口)やハルプトロッケン(halbtrocken半辛口)は残糖をなしに近いか、ごく少なくしたものです。切れの良い酸味と繊細複雑な風味が特徴です。ですから、力強さやコクはあまり期待できないものが多く、日本に輸入されているもののほとんどは、残念ながら、ややもすると薄っぺらい酸っぱいだけのものもあります。香りにも漬物に似た刺激が感じられるものがほとんどです。

 理由は「ほんとうに良いワイン」が輸入されていなかったということです。「ほんとうに良いワイン」は家族経営の小さなワイングートによって造られています。輸出は大きな会社か協同組合、ある程度の規模を持ったとても有名なワイングートだけが行っているだけで、小さなワイングートは数量もなく、輸出などを考えたこともないのが現状です。

 ドイツワインは甘いワインというイメージが強く、たぶんに高級なものが食後のワインとして甘かったこともありましたが、アメリカ経由のドイツワイン(アメリカで飲まれ日本に・・・・・)のせいかと思われます。現実には現地では、70%近くがトロッケンです。ちなみに神田和泉屋で輸入をしているドイツワインのほとんどは、トロッケ ン以外は造ったことがない「今も昔もない蔵」です。信念のせいでしょうか、レベル、ボリューム、訴えるものがまるで違います。

 

Q.b.A.以上のクラスのワインは、次の11のワイン生産地域名を必ず表示しています。アール AHR、バーデン BADEN、フランケン FRANKEN、ヘシッシェ ベルクシュトラーセ HESSICHE BERGSTRASSE、ミッテルライン MITTELRHEIN、モーゼル MOSEL、ナーエ NAHE、ラインガウ RHEINGAU、プファルツ PFALZ、ラインヘッセン RHEINHESSEN、ヴュルテムベルク WUERTEMBERGで、各産地にはそれぞれ特有の風味があり、産地名から味筋を想像することも可能です。

東西ドイツの統合により、チェコ国境近くエルベ河流域のドレスデン、マイセンのエルベ地区とザーレ河流域のザーレ・ウンストルートという新しく産地が2つ追加となり、今は13地区となっていますが、地域的に北すぎることと、旧東ドイツに所属していたためにか、技術的な立ち後れなどであまり感心した品質のものはないようです。

ドイツワインのほとんどは白ワインで、世界3大ぶどうといわれ切れの良い酸が豊かなリースリング Riesling、優しい風味で生産が安定していてもっとも広く栽培される新品種ミュラー・トゥルガウ Muller-Thurgau、在来種ながら減少しているシルヴァーナ Silvanerなどの白ぶどうが栽培されています。ドイツには現在、10万ヘクタール近くの畑があります。そのうち87%が白ワインぶどう品種で占められています。つまり赤ワインぶどう品種はわずか13%にすぎません。世界的に見ると、白ぶどうと赤ぶどうの栽培地の割合はドイツの場合とほぼ反対になります。

赤ワインは、主にバーデンやヴュルテムベルクなど比較的ドイツの南部(スイスに近い地域)で造られていますが、プファルツやラインガウでも軽いタイプのものが造られています。南部のものが色も濃く味もヘヴィなのに対して、ラインガウではやや軽めの白ワイン的なものが誕生しています。

 
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